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日本臨床微生物学会雑誌

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Article in Japanese

論文名 ESBLs迅速検出法modified ESBL NDP testの有用性に関する検討
論文言語 J
著者名 上地 幸平1,2), 仲宗根 勇3), 野中 実可子1), 新垣 桃子1), 當銘 高明1), 藤田 次郎2), 前田 士郎1)
所属 1)琉球大学医学部附属病院検査・輸血部
2)琉球大学大学院医学研究科感染症・呼吸器・消化器内科学講座
3)琉球大学医学部附属病院感染対策室
発行 臨床微生物:28(3),173─182,2018
受付 平成29年6月30日
受理 平成29年12月4日
要旨  基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(Extended-spectrum β-lactamases:ESBLs)産生菌の確認は培養に依存した方法を採用している施設が多い。しかし,培養に依存した表現型確認試験は時間を要するだけでなくAmpC β-ラクタマーゼなど,他のβ-ラクタマーゼを共産生する株ではESBLs産生の有無を明確に判定できないことがある。また,PCRや質量分析計による検出法は高価な機器を要し,手技が煩雑であるといった問題もある。今回,ESBLs迅速検出法であるESBL NDP testの改良法(modified ESBL NDP test)についてその有用性を検討した。  各種臨床材料より分離された第3世代セファロスポリン系抗菌薬に耐性を示した腸内細菌科細菌152株(ESBLs産生群127株,non-ESBL産生群25株)を対象とした。さらに血液培養陽性ボトルからグラム染色にてグラム陰性桿菌が確認された検体102件を試験対象として,血液培養陽性ボトルからのESBLs直接検出法の有用性についても検討した。Double Disk Synergy Test(DDST)を参照法とした際のmodified ESBL NDP testの感度は94.5%(120/127株),特異度は88.0%(22/25株)であり,ESBLs産生群120株のうち,81.7%(98株)が30分以内にmodified ESBL NDP test陽性と判定された。血液培養陽性ボトルからの直接検出法では102件の血液培養陽性検体中21件からESBLs産生菌(CTX-M型)が検出され,そのすべてでmodified ESBL NDP testが陽性と判定された。また,前処理時間を含め判定までに要した時間はすべて1時間以内であった。  modified ESBL NDP testは迅速かつ簡便にESBLs産生を判定可能であり,発育した菌株のみならず血液培養陽性ボトルからのESBLs直接検出法として有用であると考えられた。
Keywords 腸内細菌科細菌, Extended-Spectrum β-lactamases(ESBLs), 迅速検出, modified ESBL NDP test, 血液培養
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