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日本臨床微生物学会雑誌
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書誌情報
論文名 |
MALDI Biotyperでの迅速同定が診断に有用であった破傷風の一症例 |
論文言語 |
J |
著者名 |
加藤 匡平1), 永沢 善三2), 成田 妙子1), 船島 由美子2), 佐藤 謙一2), 原田 哲太1), 川嶋 裕資3), 梅村 創1,2) |
所属 |
1)医療法人社団高邦会高木病院検査技術部
2)国際医療福祉大学福岡保健医療学部医学検査学科
3)医療法人社団高邦会高木病院外科 |
発行 |
臨床微生物:28(3),213─218,2018 |
受付 |
平成29年10月23日 |
受理 |
平成30年1月15日 |
要旨 |
症例は80歳代女性,腹部膨満と下血により当院に救急搬送された。腹部CTにより小腸ガス,腸液貯留像を認め,イレウスとの診断にて緊急手術が行われ,ダグラス窩にドレーンが留置された。同日,採取されたドレーン廃液の培養検査が提出され,遠心分離後の沈渣をアネロウサギ血液寒天/PV寒天培地を用い,35℃嫌気条件下で分離培養した。2日後,フィルム状に遊走発育した極少量の集落が観察され,グラム染色ではClostridium属が推定されたため,迅速同定を目的に質量分析計MALDI Biotyperを使用した結果,Clostridium tetaniと同定された。そこで,精査目的として16S rRNA遺伝子解析およびPCR法による破傷風毒素産生遺伝子検索を実施した結果,破傷風毒素産生株のC. tetaniと確定した。本症例は質量分析計を使用したことで,極少量の集落から迅速かつ適確にC. tetaniを同定することができ,患者の診断・治療に貢献した症例である。 |
Keywords |
Clostridium tetani, Tetanus, Tetanospasmin, MALDI Biotyper |
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