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日本臨床微生物学会雑誌
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書誌情報
論文名 |
Staphylococcus aureusに対するEnterococcus faecalisの溶血阻害に関する検討 |
論文言語 |
J |
著者名 |
葛西 淳, 竹村 子竜 |
所属 |
独立行政法人国立病院機構仙台西多賀病院臨床検査科 |
発行 |
臨床微生物:28(3),219─224,2018 |
受付 |
平成29年12月12日 |
受理 |
平成30年3月13日 |
要旨 |
CAMPテストの陰性コントロールに用いた臨床分離株のEnterococcus faecalisが,β-hemolysinの供給源であるStaphylococcus aureus ATCC 25923のβ溶血を阻害した。S. aureusが産生するhemolysinには,α,β,γ,δがあり,β-hemolysinは37℃でβ溶血を示さず,γ-hemolysinは寒天で阻害されるため,S. aureus ATCC 25923のβ溶血はαまたはδ-hemolysinによるものと思われた。そこで,表現型による判別法を基に,αまたはδ-hemolysinを単独で産生するS. aureusを1株ずつ収集し,S. aureus ATCC 25923のβ溶血を阻害するE. faecalis 8株を溶血阻害試験に供した。その結果,8株全てがδ-hemolysinの溶血を阻害した。E. faecalisの中には,抗菌作用を示すEnterocin産生株が存在する。これら8株のEnterocin活性をみたところ,δ-hemolysin単独産生株に対する抗菌作用は認められなかった。よって,E. faecalisの溶血阻害機構は,抗菌作用に伴うδ-hemolysinの量的減少ではないと考えられた。 |
Keywords |
Staphylococcus aureus, Enterococcus faecalis, δ-hemolysin, 溶血阻害 |
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