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日本臨床微生物学会雑誌

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論文名 血液培養液の遠心上清を用いる新たな直接遊離型コアグラーゼ試験の検討
論文言語 J
著者名 田中 真輝人1), 品川 雅明1), 韮澤 慎也1), 佐伯 理知1), 八鍬 佑貴1), 佐藤 勇樹1), 髙橋 聡1,2)
所属 1)札幌医科大学附属病院検査部
2)札幌医科大学医学部感染制御・臨床検査医学講座
発行 臨床微生物:29(1),7─11,2018
受付 平成30年4月25日
受理 平成30年8月10日
要旨  血液培養液の遠心上清液を試料とする新たな直接遊離型コアグラーゼ試験(Direct Tube Coagulase Test:DTCT,以下本法)について検討した。対象は,当院の血液培養検査にて検出された,Staphylococcus aureusS. aureus)63例および,Coagulase negative staphylococci(CNS)50例とした。試料は,血液培養原液および培養上清液を用いた。ウサギ血漿は,『ブドウ球菌コアグラーゼ型別用免疫血清「生研」(以下,デンカ)』と「ウサギプラズマ‘栄研’(以下,栄研)」を用いた。検査条件には,両ウサギ血漿500 μLに培養原液または培養上清液をそれぞれ100,300,500 μLずつ添加する12条件を設定した。添加,混和後,37℃孵卵器にて0.5,1,2,4,24時間培養し,フィブリン析出や凝固を認めた場合,DTCT陽性とした。各々の条件および判定時間における感度を比較し,最も迅速かつ高感度に判定できる条件を検討した。また,血液培養条件(好気,嫌気)間,メチシリン耐性の有無でDTCTの感度に差が生じるか解析した。その結果,デンカウサギ血漿500 μLに培養上清液を300 μL添加する条件(以下,本条件)が,他の条件と比較し,いずれの判定時間においても感度が上回っていた。また,本条件における,血液培養条件間およびメチシリン耐性の有無によるDTCT感度に差はなかった。さらに,CNS 50例について,本条件によるDTCTを行ったところ,全例陰性であった。本法は,従来のDTCTと比較し,迅速性および感度に優れ,血液培養からの直接S. aureus鑑別法として有用であった。
Keywords 敗血症, 血液培養, Staphylococcus aureus, コアグラーゼ, 迅速同定
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