|
日本臨床微生物学会雑誌
|
書誌情報
論文名 |
ファビピラビル(T-705)― ウイルスRNA依存性RNAポリメラーゼ阻害剤 ― |
論文言語 |
J |
著者名 |
古田 要介 |
所属 |
富士フイルム富山化学株式会社 |
発行 |
臨床微生物:29(2),58─66,2019 |
受付 |
平成31年1月16日 |
受理 |
|
要旨 |
ファビピラビル(T-705;6-fluoro-3-hydroxypyrazine-2-carboxamide)は,RNAウイルスのRNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)を選択的に阻害する新規な抗ウイルス剤で,富山化学工業株式会社(現:富士フイルム富山化学株式会社)において抗インフルエンザウイルス剤として創製された薬剤である。ファビピラビルの作用機序は,細胞内に取り込まれたファビピラビルが細胞内酵素により代謝・変換され,ファビピラビル・リボフラノシル三リン酸体(favipiravir-ribofuranosyl-5'-triphosphate)となり,RdRpの基質として認識されることによりRdRpを選択的に阻害するものである。また,ファビピラビルは既販薬剤耐性株を含む広範囲な型,亜型のインフルエンザウイルスに対してin vitroや動物モデルにおいて効果を示すだけでなく,出血熱の原因となるブニヤウイルス目,アレナウイルス科,およびフィロウイルス科などの広範囲なRNAウイルスに対しても効果を示すことから,治療法の確立されていないRNAウイルス感染症の薬剤として期待されている。 |
Keywords |
favipiravir, antivirals, influenza virus, RNA virus, RNA-dependent RNA polymerase |
|