学会誌

日本臨床微生物学会雑誌

書誌情報


download PDF Full Text of PDF (326K)
Article in Japanese

論文名 当院の尿検体から肺炎球菌が検出された症例の検討
論文言語 J
著者名 武井 悠1,2), 荘司 貴代1), 中本 貴人1), 小野田 薫3), 大竹 麻衣子3), 大楠 美佐子4), 竹内 典子4), 石和田 稔彦4)
所属 1)静岡県立こども病院総合診療科・小児感染症科
2)千葉大学大学院医学研究院小児病態学
3)静岡県立こども病院臨床検査科細菌検査室
4)千葉大学真菌医学研究センター感染症制御分野
発行 臨床微生物:29(2),83─87,2019
受付 平成30年5月28日
受理 平成30年10月23日
要旨  当院の尿検体からの肺炎球菌検出率は過去7年6か月間で4/5,390件(0.07%)であった。尿路感染症例は1例のみで他は汚染菌であった。尿路感染症と診断された症例は,基礎疾患に総排泄腔遺残および両側水腎症があり,左尿管ステント留置中の2歳女児であった。造影CTで左腎造影遅延部位を認め,膿尿と尿検体よりグラム陽性連鎖球菌を認め,尿培養からStreptococcus pneumoniaeが分離された。血清型は34でPCV13非含有株であった。MLST解析ではST 7388で特別な由来を示唆するものではなかった。過去の肺炎球菌による尿路感染症の報告では複雑な尿路奇形との関連が示唆されている。現時点で尿路感染に特異的な血清型は指摘できない。尿から肺炎球菌が検出された場合は汚染菌との鑑別が必要であるが,尿路奇形が存在する場合は感染の原因菌である可能性を検討する必要がある。
Keywords 肺炎球菌, 血清型, 尿路感染症, 尿路奇形, MLST解析
Copyright © 2002 日本臨床微生物学会 All rights reserved.