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日本臨床微生物学会雑誌

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Article in Japanese

論文名 当院におけるStaphylococcus pseudintermediusの分離状況および生化学的性状を用いた同定法の検討
論文言語 J
著者名 佐々木 潤平1), 石垣 しのぶ1), 松村 充2), 浅原 美和1), 厚川 喜子1), 市川 りさ1), 上村 佑太1), 斧 康雄3), 古川 泰司4)
所属 1)帝京大学医学部附属病院中央検査部
2)帝京大学医療技術学部臨床検査学科
3)帝京大学医学部微生物学講座
4)帝京大学医学部臨床検査医学
発行 臨床微生物:29(3),140─145,2019
受付 平成30年11月8日
受理 平成31年3月14日
要旨  Staphylococcus pseudintermediusは,多くの微生物同定自動分析器において菌種同定データベースに登録されていないため,正確な同定が困難である。今回,当院での本菌種の分離状況の調査と正確に同定するために有用な生化学的性状について検討した。2015年4月から2016年10月の期間に質量分析装置VITEK MS(ビオメリュー・ジャパン)で同定したStaphylococcus属菌の中でS. pseudintermediusは0.1%(4/3,737株)の分離頻度であった。それ以前に,微生物同定自動分析器マイクロスキャンW/A 96Plus Pos Combo Panel 3.1J(W/A 96:ベックマン・コールター)で同定されたS. intermedius 8株をVITEK MSで再同定したところ,S. pseudintermediusが1株存在した。5株のS. pseudintermediusの同定結果は,VITEK MSと16SrRNA遺伝子シーケンス解析およびnuc遺伝子に対するPCR法で一致した。しかし,W/A 96で同定した場合,菌種同定データベースに登録されていないことから,全ての株がS. intermediusと誤同定された。この問題点を解決するため,S. intermediusと生化学的性状を比較したところ,S. pseudintermediusは血液寒天培地上でS. aureus様の強いβ溶血を伴う集落,クランピング因子試験陰性,マンニット分解能遅分解,DNase強陽性という特徴が見られた。よって,上記性状を鑑別することで,S. pseudintermediusが菌種同定データベースに登録されていないW/A 96を使用している施設においても正確な同定につながることが期待された。
Keywords Staphylococcus pseudintermedius, 生化学的鑑別性状
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