|
日本臨床微生物学会雑誌
|
書誌情報
論文名 |
血液培養陽性ボトルからの迅速な菌種同定が憩室炎の早期診断に有用であったComamonas kerstersiiによる敗血症の1症例 |
論文言語 |
J |
著者名 |
宮城 ちひろ1), 大城 健哉1), 平良 ひかり1), 真栄田 百合子1), 知花 なおみ2), 大楠 清文3) |
所属 |
1)那覇市立病院医療技術部検査室
2)那覇市立病院総合内科
3)東京医科大学微生物学講座 |
発行 |
臨床微生物:29(3),146─151,2019 |
受付 |
平成30年12月3日 |
受理 |
平成31年3月5日 |
要旨 |
我々は,本邦で初症例となるComamonas kerstersiiによる憩室炎を経験した。症例は50歳代男性。入院前日より発熱があり,入院当日に悪寒戦慄を認め,近医を受診した。その際に結膜充血と血圧低下を認め,当院に救急搬送となった。入院時に2セット採取された血液培養の好気ボトル2本が入院翌日に陽性となり,グラム染色にてブドウ糖非発酵菌を疑うグラム陰性桿菌を認めた。MALDI Biotyperによる血液培養陽性ボトルからの直接菌種同定によりC. kerstersiiと同定され,その旨を主治医に報告し,菌名から憩室炎の早期診断に至った。本菌は質量分析装置や16S rRNA遺伝子解析では同定可能であるが,従来の自動機器による同定法ではデータベースがなく,Comamonas testosteroniなどに誤同定される可能性がある。質量分析装置による迅速報告と検出菌の情報が診断の契機となった症例であった。 |
Keywords |
Comamonas kerstersii, 血液培養, MALDI-TOF MS, 直接菌種同定, 腹腔内感染症 |
|