日本臨床微生物学会雑誌：書誌情報

日本臨床微生物学会雑誌

書誌情報

Full Text of PDF (764K)
Article in Japanese

論文名	Methylobacterium radiotolerans菌血症の一例
論文言語	J
著者名	須田　那津美1）, 小原　登志子1）, 中村　一樹1）, 小沼　正栄2）, 吉田　美智子3）, 馬場　啓聡4）, 賀来　満夫4）, 桜井　博毅5）
所属	1）宮城県立こども病院検査部 2）宮城県立こども病院血液腫瘍科 3）国立成育医療研究センター感染防御対策室 4）東北大学大学院医学系研究科感染制御・検査診断学分野 5）宮城県立こども病院リウマチ・感染症科
発行	臨床微生物：29（3），152─157，2019
受付	平成30年12月20日
受理	平成31年3月8日
要旨	症例は13歳女性。急性骨髄性白血病における化学療法後の骨髄抑制期に，持続する発熱及び悪寒を主訴に発熱性好中球減少症と診断された。血液培養よりMethylobacterium radiotoleransを検出し，ciprofloxacinによる治療で軽快した。血液培養は8日目に陽性となり，菌体の一部に空胞や分岐を認めるグラム陰性桿菌を検出した。生化学的性状による同定が困難な本菌の迅速同定にmatrix assisted laser desorption/ionization time of flight mass spectrometry（MALDI-TOF MS）が有用であることが示唆された。βラクタム系抗菌薬に耐性傾向であるが，ニューキノロン系抗菌薬やアミノグリコシド系抗菌薬は低MIC値で抗菌薬治療が有効である可能性が高いため，グラム染色像や発育に時間を要すること，ピンク色の色素産生等の微生物学的特徴から迅速にMethylobacterium属を疑い主治医と情報共有することで，適切な加療に貢献可能と考えられた。
Keywords	Methylobacterium radiotolerans, MALDI-TOF MS, 発熱性好中球減少症