学会誌

日本臨床微生物学会雑誌

書誌情報


download PDF Full Text of PDF (199K)
Article in Japanese

論文名 レジオネラ肺炎における尿中抗原検査とLAMP法遺伝子検査のレジオネラ属菌検出率の比較
論文言語 J
著者名 白坂 渉1), 篠崎 正博1), 櫛引 千恵子2), 勝川 千尋3)
所属 1)岸和田徳洲会病院救命救急センター
2)岸和田徳洲会病院臨床検査課
3)大阪健康安全基盤研究所微生物部細菌課
発行 臨床微生物:29(4),203─206,2019
受付 平成31年1月10日
受理 令和元年5月16日
要旨  レジオネラ肺炎は重症化しやすく早期診断治療が重要である。迅速診断には尿中抗原が広く用いられるがLegionella pneumophila血清1型以外は検出できず尿中抗原陰性でもレジオネラ肺炎は否定できない。一方,吸引痰に対するLoop-mediated isothermal amplification法(LAMP法)はLegionella属の多くの菌種,血清型の検出が可能で迅速かつ正確な検査である。当院にLAMP法が導入された2015年4月から2018年3月までの36ヶ月間に12例のレジオネラ肺炎を診断し,うち8例が尿中抗原陰性で吸引痰のLAMP法陽性から診断し得た。そこで2012年4月から2018年3月までの72か月間に当院の救急外来を受診した患者のうち,レジオネラ肺炎が疑われた667例に対し,尿中抗原のみ実施していたLAMP法導入前(2012年4月~2015年3月の36か月間)とLAMP法導入後(2015年4月~2018年3月の36か月間)でレジオネラ属菌の検出率を比較した。結果,尿中抗原のみ実施した346例中,尿中抗原陽性は3例(0.87%),LAMP法導入後の321例中,LAMP法陽性は12例(3.74%)であり,LAMP法の検出率は尿中抗原と比較し有意に高かった(P=0.0166)。よってレジオネラ属菌の検出及びレジオネラ肺炎の迅速診断には吸引痰のLAMP法が有用である。
Keywords レジオネラ肺炎, 尿中抗原検査, LAMP法
Copyright © 2002 日本臨床微生物学会 All rights reserved.