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日本臨床微生物学会雑誌

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Article in Japanese

論文名 薬剤耐性獲得機構~グラム陰性菌を中心に~
論文言語 J
著者名 和知野 純一
所属 名古屋大学大学院医学系研究科微生物・免疫学講座分子病原細菌学
発行 臨床微生物:30(1),1─12,2019
受付 令和元年11月5日
受理
要旨  薬剤耐性菌の出現・拡散が医療の現場で大きな問題となっている。細菌の薬剤耐性化は,内因性の薬剤耐性化(DNA Gyraseのアミノ酸置換によるキノロン耐性など)と外因性の薬剤耐性化(メタロ-β-ラクタマーゼ遺伝子の獲得によるカルバぺネム耐性など)に大別される。外因性の薬剤耐性化には,プラスミドなどのmobile elementが関与しており,プラスミドの伝達(conjugation)は,同属細菌同士はもちろん,異属細菌同士でも生じるため,薬剤耐性形質を拡散させる大きな要因となっている。その他,薬剤耐性の獲得には,transformation(形質転換)やファージによるtransduction(形質導入)などが関わっているとされている。本稿では,医療現場で特に問題となっている薬剤耐性菌を例に,それらがどのような分子機構を介して薬剤耐性を獲得し,またさらに,それを拡散させるのかについて概説する。
Keywords 薬剤耐性菌, 水平伝播, プラスミド, ファージ
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