日本臨床微生物学会雑誌：書誌情報

日本臨床微生物学会雑誌

書誌情報

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Article in Japanese

論文名	Moraxella catarrhalis簡易同定法の比較検討
論文言語	J
著者名	武藤　沙起里1）, 山田　景土2）, 西山　宏幸3）, 齋藤　良一4）
所属	1）公益財団法人東京都保健医療公社豊島病院検査科 2）東邦大学医療センター大森病院臨床検査部 3）日本大学医学部附属板橋病院臨床検査部 4）東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科分子病原体検査学分野
発行	臨床微生物：30（1），13─17，2019
受付	令和元年5月7日
受理	令和元年8月23日
要旨	Moraxella catarrhalisは呼吸器感染症の主要な原因微生物であり，今後臨床において分離頻度の増加が懸念される。そのため本菌種の迅速同定は重要となるが，マトリックス支援レーザーイオン化飛行時間型マススペクトロメトリー（Matrix-assisted laser desorption ionization-time of flight mass spectrometry；MALDI-TOF MS）や生化学的性状以外の同定方法は十分な検討がなされていない。そこで本研究では，同定キットを使用しないM. catarrhalisの簡易同定方法の比較を行った。使用菌株はM. catarrhalis 300株とその他の菌種144株である。簡易同定方法として，butyrate test，2種類の選択培地発育性およびhockey puck testの3方法を比較した。各試験について，感度および特異度を算出し，それぞれの試験方法を評価した。Butyrate test，選択培地発育性およびhockey puck testの感度・特異度は，それぞれ100％・99.3％，98.3-99.0％・83.3-84.7％および97.3％・97.3％であった。選択培地の発育性は特異度が他法と比較した場合に低く，判定に一晩培養を要することが欠点である。一方でbutyrate testとhockey puck testは，一部の菌種において偽陽性などが認められたが，感度・特異度ともに＞95％であり，迅速性にも優れていた。本検討において，特別な装置を必要としないbutyrate testとhockey puck testは感度・特異度および迅速性に優れており，これらの日常検査導入はM. catarrhalisの同定精度向上と迅速な結果報告を可能にする。
Keywords	Moraxella catarrhalis, ブチレート・ディスク, hockey puck test, 簡易同定