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日本臨床微生物学会雑誌
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書誌情報
論文名 |
Prototheca wickerhamiiによる菌血症の1例 |
論文言語 |
J |
著者名 |
西村 恵子1), 大楠 清文2) |
所属 |
1)NHO岡山医療センター臨床検査科
2)東京医科大学微生物学講座 |
発行 |
臨床微生物:30(1),30─35,2019 |
受付 |
令和元年6月4日 |
受理 |
令和元年10月2日 |
要旨 |
プロトテカ(Prototheca)はクロレラ科の1属であるが,例外的に葉緑素を持たない微細藻類で世界中の土壌や汚水中に広く分布し,時に動物に感染して人獣共通感染症であるプロトテカ症を引き起こす。プロトテカ症を引き起こす病原体としてP. wickerhamiiやP. zopfii等が知られているが,ヒトへの感染は稀であると言われている。今回,Prototheca wickerhamiiによる菌血症の症例を経験した。症例は,70歳代の女性。慢性関節リウマチにて加療中に全身状態の悪化を認め,当院に救急搬送,入院となった。入院32日目に提出された血液培養が培養7日目に陽性となり,グラム染色でグラム陽性の大小不同,球形の酵母に類似した胞子嚢を認めた。羊血液寒天培地,真菌用培地ではカンジダ様のコロニーを形成し,菌株はVITEK(YBCカード)にてPrototheca wickerhamiiと同定された。また,16SrDNA塩基配列による解析でも同様の結果であった。 |
Keywords |
Prototheca wickerhamii, 緑藻, 人獣共通感染症 |
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