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日本臨床微生物学会雑誌

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Article in Japanese

論文名 良好な経過をたどったIMP-6 metallo-β-lactamase産生Klebsiella pneumoniaeによる化膿性血栓性静脈炎の1例
論文言語 J
著者名 市川 佳保里1), 井口 光孝2), 三谷 有生1), 髙石 洋子1), 青木 隆恵1), 八木 哲也2)
所属 1)名古屋掖済会病院中央検査部
2)名古屋大学医学部附属病院中央感染制御部
発行 臨床微生物:30(2),64─68,2020
受付 令和元年8月9日
受理 令和元年10月28日
要旨  患者は70歳男性。リハビリテーション目的で前医入院中に発熱・血圧低下が出現し搬送された。右鼠径部には発赤を伴う痂皮と中枢側に伸びる索状物を触れた。造影CTで右大腿静脈内の造影欠損と血管周囲の炎症像を認め化膿性血栓性静脈炎と診断,meropenemが開始された。血液培養よりIMP-6 metallo-β-lactamase産生Klebsiella pneumoniaeを検出。aztreonam,amikacin,tigecyclineによる4週間の治療後sitafloxacinを2週間投与し治療を終了した。  化膿性血栓性静脈炎は静脈壁に化膿性炎症を起こし血栓を形成する疾患で,持続性菌血症を呈し難治化しやすい。また,カルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌(CPE)による感染は治療薬の選択肢が限られ難治化のリスクとされている。本例ではカルバペネマーゼ産生を適切に検出し迅速に薬剤感受性検査結果を報告することで,適切な薬剤が選択され良好な転帰に繋がった。
Keywords カルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌, metallo-β-lactamase, IMP-6, 化膿性血栓性静脈炎, sitafloxacin
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