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日本臨床微生物学会雑誌

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Article in Japanese

論文名 レジオネラ尿中抗原検出キットの比較検討―リボソームタンパク質L7/L12を検出する新規キットを含めて―
論文言語 J
著者名 村上 日奈子1,2), 石井 良和2,3), 濱口 雄太4), 舘田 一博1,2,3)
所属 1)東邦大学医療センター大森病院臨床検査部
2)東邦大学医療センター大森病院感染管理部
3)東邦大学医学部微生物・感染症学講座
4)旭化成ファーマ株式会社診断薬製品部
発行 臨床微生物:30(2),85─88,2020
受付 令和元年12月7日
受理 令和2年1月17日
要旨  レジオネラ症の迅速診断法の一つとして尿中抗原検査が使われている。しかし,尿中抗原検査で陰性と判定されてもLegionella spp. による感染を否定できない。本研究はL. pneumophila血清群1のリポ多糖体に対する抗体とL. pneumophilaのリボソームタンパク質L7/L12を認識する抗体を併用してL. pneumophilaの全ての血清群を検出する尿中抗原検査LAC-116(旭化成ファーマ株式会社)と,BinaxNOWレジオネラ(アボット ダイアグノスティクス メディカル株式会社)およびQライン極東レジオネラ(極東製薬工業株式会社)の性能を評価した。レジオネラ症と診断された57症例の尿検体を使用し,尿中抗原検査の陽性率はLAC-116が86.0%(49/57),Binaxが80.7%(46/57),Qラインが77.2%(44/57)であった。L. pneumophila血清群1が単独で分離された症例に対するLAC-116,Binax,Qラインの陽性率はいずれも96.6%(28/29)であった。3種類の尿中抗原検査の結果が一致しなかったのは6症例であった。この内,4症例は血清群1以外のL. pneumophilaが分離され,LAC-116のみが陽性を示した。LAC-116は血清群1以外のL. pneumophilaの検出にも有用であると考えられた。
Keywords 感染症診断, レジオネラ症, 尿中抗原, リボソームタンパク質L7/L12
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