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日本臨床微生物学会雑誌

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Article in Japanese

論文名 IMP-6メタロ-β-ラクタマーゼ産生Leclercia adecarboxylataによる肝内胆管癌に伴う腹腔内遺残膿瘍の1症例
論文言語 J
著者名 笹垣 貴美1), 上田 恒平2), 田中 美智男3), 松村 康史3)
所属 1)市立豊中病院臨床検査部
2)市立豊中病院感染対策室
3)京都大学医学部附属病院検査部・感染制御部
発行 臨床微生物:30(3),135─138,2020
受付 令和元年10月8日
受理 令和2年2月19日
要旨  症例は50代男性。1週間前から発熱,右季肋部痛があり,近医を受診した際,腹部エコーにて肝S4に30 mm大の腫瘤を認めたため当院消化器内科を受診。造影CTにて肝腫瘤の横行結腸穿通と診断され,精査加療目的に入院となった。その後,肝拡大前区域切除術,胆嚢摘出術をおこない,術後2日目に提出された左肝管と後区域枝肝管ドレーン排液よりグラム陰性桿菌を多数認めた。分離培養を実施したところ翌日に発育を認め,VITEK2および質量分析装置MALDI BiotyperにてLeclercia adecarboxylataと判定された。薬剤感受性検査ではmeropenemに耐性(MIC>4 μg/mL)を示し,modified carbapenem inactivation methodが陽性。全ゲノム解析を実施したところプラスミド上にIMP-6型カルバペネマーゼ遺伝子が存在していることが疑われ,プラスミド伝達による耐性遺伝子獲得が推定された。L. adecarboxylataはヒトからの分離例が稀であり,抗菌薬に対し感受性を示す株が多い。しかし今回,カルバペネマーゼ遺伝子陽性株が検出されたことから,今後カルバペネム耐性菌として本菌が広がる可能性が示唆された。
Keywords Leclercia adecarboxylata, カルバペネム耐性菌, IMP-6, プラスミド伝播
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