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日本臨床微生物学会雑誌

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Article in Japanese

論文名 本邦でヒト検体から分離されたバンコマイシン依存発育型腸球菌(Vancomycin-dependent enterococci:VDE)の1例
論文言語 J
著者名 川又 大右1), 佐々木 雅一2), 佐藤 麗華1), 前橋 由佳1), 橘 秀昭3), 山口 哲央4)
所属 1)戸田中央臨床検査研究所・細菌検査科
2)東邦大学医療センター大森病院・微生物検査室
3)昭和大学・歯学部
4)東邦大学・医学部微生物・感染症学講座
発行 臨床微生物:30(3),143─148,2020
受付 令和元年12月14日
受理 令和2年2月28日
要旨  今回我々は,vancomycin(VCM)存在下のみで発育することが可能なバンコマイシン依存発育型腸球菌(vancomycin-dependent enterococci:VDE)を臨床検体から分離した。VCMが含まれない通常培地では発育しないため,菌種同定および薬剤感受性検査の判定が困難であった。解析の結果,vanB遺伝子保有のバンコマイシン耐性腸球菌(vancomycin resistant enterococci:VRE)であり,ペプチドグリカン前駆体のD-alanyl-D-alanine末端合成に必要なD-Ala:D-Ala ligaseの責任遺伝子であるddl遺伝子内に1,060 bpの挿入配列が確認された。D-Ala:D-Ala ligaseが機能しなくなることで,VCM存在下のみで発育する菌株が発生したと考えられた。世界的にも報告が少なく,貴重な症例であり,今後の臨床検査分野におけるVDEを含めたVRE検出法に役立つと考える。
Keywords Vancomycin-dependent enterococci:VDE, VRE
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