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日本臨床微生物学会雑誌
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書誌情報
論文名 |
海外渡航歴のない入院患者よりFRI型カルバペネマーゼの新規バリアントblaFRI-7を保有するEnterobacter cloacae complexを検出した一症例 |
論文言語 |
J |
著者名 |
上地 あゆみ1,2), 大城 春奈1), 下地 法明1), 玉城 格1), 原國 政直3), 宮城 哲哉4), 髙良 武俊5), 木村 太一6), 松井 真理7), 鈴木 里和7), 菅井 基行7), 関塚 剛史8), 黒田 誠8), 粟国 徳幸1), 手登根 稔1) |
所属 |
1)浦添総合病院臨床検査部
2)琉球大学病院検査・輸血部
3)浦添総合病院感染防止対策室
4)浦添総合病院脳神経内科
5)沖縄県衛生環境研究所
6)沖縄県南部保健所
7)国立感染症研究所薬剤耐性研究センター
8)国立感染症研究所病原体ゲノム解析研究センター |
発行 |
臨床微生物:30(4),273─278,2020 |
受付 |
令和2年6月18日 |
受理 |
令和2年8月3日 |
要旨 |
症例は80歳代,女性。副腎皮質機能低下症のためヒドロコルチゾンを内服している患者であり,近医において外来通院中,尿路感染症による発熱が疑われ,当院へ救急搬送された。抗菌薬治療および弛緩性膀胱への尿道留置カテーテル処置が行われた。排尿障害により尿道留置カテーテルの使用は継続され,入院中に複数回,発熱を認め各種培養検査が実施された。第46病日に提出された尿培養よりカルバペネム耐性Enterobacter cloacae complexが検出された。modified carbapenem inactivation method(mCIM)陽性結果に基づき,カルバペネマーゼ産生腸内細菌目細菌(CPE)として厳重な感染対策が行われた。本症例より分離されたE. cloacae complexの耐性遺伝子は,主要なカルバペネマーゼ遺伝子型であるIMP型,NDM型,KPC型,OXA-48型等に該当せず,詳細なゲノム解析により新規バリアントblaFRI-7を保有する事が確認された。海外渡航歴のない患者からの分離であることよりFRI型カルバペネマーゼ産生菌の国内での潜在的な存在の可能性が示唆された。 |
Keywords |
FRI-7, Ambler Class Aカルバペネマーゼ, Carbapenemase-producing Enterobacterales(CPE), Enterobacter cloacae complex |
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