 |
日本臨床微生物学会雑誌
|
書誌情報
| 論文名 |
PCR法を用いたmethicillin-resistant Staphylococcus aureus菌血症の迅速診断と抗菌薬適正使用への効果 |
| 論文言語 |
J |
| 著者名 |
池町 真実1）, 竹川 啓史1）, 池成 拓哉1）, 国宝 香織1）, 宮川 一也2）, 山本 剛3） |
| 所属 |
1）神戸市立西神戸医療センター臨床検査技術部
2）神戸市立西神戸医療センター総合内科
3）神戸市立医療センター中央市民病院臨床検査技術部 |
| 発行 |
臨床微生物：31（1），5─10，2020 |
| 受付 |
令和2年6月23日 |
| 受理 |
令和2年9月7日 |
| 要旨 |
Methicillin-resistant Staphylococcus aureus（MRSA）は，院内および市中型感染症を起こす薬剤耐性菌である。特に菌血症は，methicillin-susceptible S. aureus（MSSA）によるものと比較して死亡率が高い。また有効な抗菌薬が限られており難治化する場合が多く医療費の増大を招くため，MRSAの早期検出は臨床的かつ医療経済的に重要である。今回，QProbe-PCR法により血液培養陽性ボトルから直接nucおよびmecA遺伝子の検出をすることが，MRSAを早期に検出し得るか，抗菌薬適正使用に有用であるかを検討した。nuc遺伝子の感度，特異度および陽性的中率，陰性的中率は100％，97.2％，97.5％，100％，mecA遺伝子はそれぞれ95.2％，93.9％，95.2％，93.9％と良好であった。MRSAが検出された12例中6例（50％）でvancomycin（VCM）単剤療法が，4例（33.3％）でVCMとβ-ラクタム系薬の併用療法が行われ，MSSAが検出例では全例でβ-ラクタム系薬単剤療法が行われた。QProbe-PCR法によるMRSA菌血症の迅速診断は精度が高く，早期に抗菌薬適正化が可能となった。本法のような迅速な耐性遺伝子の検出は，今後の感染症診療に有用であると考えられる。 |
| Keywords |
MRSA, 血液培養, QProbe-PCR, mecA, antimicrobial stewardship |
|
