学会誌

日本臨床微生物学会雑誌

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Article in Japanese

論文名 石川県で分離された結核菌株のVNTR分析を用いた分子疫学的解析
論文言語 J
著者名 児玉 洋江1), 小坂 恵1,2), 木村 恵梨子1), 塩本 高之1), 北川 恵美子1,3), 谷村 睦美1), 出雲 和彦1), 金戸 惠子1)
所属 1)石川県保健環境センター
(2)現 石川県南加賀保健福祉センター)
(3)現 石川県健康福祉部)
発行 臨床微生物:31(1),27─32,2020
受付 令和2年1月28日
受理 令和2年8月25日
要旨  石川県の結核患者から分離された結核菌株170株について12領域分析法(JATA(12)-VNTR)および24領域分析法(24Beijing-VNTR)による遺伝系統の推定を行った。北京型は125株(73.5%)を占め,70歳未満の患者と比較すると,70歳以上ではSTK群の割合が有意に高く,新興型が有意に低かった。非北京型株のうち日本人患者由来株の9割以上がEuro-Americanであった。また,外国人患者では,入国から発症までの期間が2年以内と短いこと,株の遺伝系統が日本人患者由来株とは異なることから,日本国外での感染が示唆された。JATA(12)-VNTRのプロファイルが一致した38株について24Beijing-VNTRを実施した結果,プロファイルが一致したのは疫学的な関連がある2株のみであった。このことから,菌株の異同判定をする上で24Beijing-VNTRの有用性が示唆された。今後もVNTR分析を用いた結核菌株の遺伝系統解析を継続するとともに,その分析結果を関係機関へ還元することにより,精度の高い実地疫学調査の実施に寄与したい。
Keywords Mycobacterium tuberculosis, variable numbers of tandem repeats, JATA(12)-VNTR, 24Beijing-VNTR
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