学会誌

日本臨床微生物学会雑誌

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Article in Japanese

論文名 当院で分離されたClostridium difficileの分子疫学的解析
論文言語 J
著者名 沢辺 悦子1,2), 欠塚 杏奈2), 千田 俊雄2), 大澤 佳代4), 岡村 登2), 武部 功1), 角田 千能1), 遠井 初子1), 古畑 紀子1), 西堀 眞弘1), 奈良 信雄1), 三宅 修司3), 吉澤 靖之3)
所属 1 )東京医科歯科大学医学部付属病院 検査部
2 )東京医科歯科大学大学院保健衛生学研究科 生体防御検査学分野
3 )東京医科歯科大学医学部附属病院 呼吸器科
4 )神戸大学医学部 保健学科検査技術科学専攻
発行 臨床微生物:13(1),1─7,2003
受付 平成14年10月8日
受理 平成15年3月4日
要旨  1999年10月より2000年10月の間に東京医科歯科大学医学部附属病院に入院中,抗菌薬投与と関連して下痢が見られた57名の患者の糞便より分離されたClostridium difficile59株について,パルスフィールド電気泳動法(PFGE)とPCRリボタイピング法による染色体DNA の型別,およびPCR による毒素遺伝子型別を行い解析した。PFGEは34 パターン,類似度80%以上の泳動パターンを同一とした型別ではA~Wの23型に,PCRリボタイピングはa~z,aaの27パターンに分けられた。分離株の約70%を占めた血液内科の病棟においてPFGEのA型,PCRリボタイピングのa型の組み合せ(A-a型)が12株(29%)と最も多く検出され,それらはすべてToxin ABであった。  今回の調査から易感染患者の多い病棟での特定のC. difficileの定着,伝播の可能性が示唆された。今後,十分な院内感染防止対策を励行していく必要があると思われた。
Keywords C. difficile, PFGE, PCRリボタイピング, 毒素遺伝子, 院内感染
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