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日本臨床微生物学会雑誌
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書誌情報
論文名 |
マイコプラズマ肺炎の細菌学的診断法 |
論文言語 |
J |
著者名 |
佐々木 次雄 |
所属 |
国立感染症研究所細菌第二部 |
発行 |
臨床微生物:13(2),101─106,2003 |
受付 |
平成15年6月2日 |
受理 |
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要旨 |
Mycoplasma pneumoniaeにより起こる疾患は,主に気管支炎と肺炎である。原発性異型肺炎の約30~40%がM. pneumoniaeによるマイコプラズマ肺炎であり,クラミジア肺炎とともに高い割合を占めている。マイコプラズマ肺炎は若年齢層に多いが,すべての年齢層に発生する。一年中発生が見られるが,秋冬期に多い傾向があり,家族内や学校での集団発生がしばしば見られる。以前は4年ごとに周期的な大流行が見られたが現在は見られなくなっている。主な症状は,発熱,長く続く咳,その他の感冒様症状であり,胸部X線検査では,すりガラス様の淡い陰影が認められる。潜伏期間は1~3週間程度である。マイコプラズマ肺炎は他の細菌性肺炎に比べて臨床症状は比較的軽いとされるが,様々な合併症があり,まれに重篤な症状に陥ることがある。合併症としては発疹,溶血性貧血,関節炎,中耳炎,髄膜脳炎,末梢神経障害,心外膜炎,収縮性心膜炎などがあり,中枢神経系合併症を併発した場合は重症化することもある。また,回復期以降にアレルギー性紫斑病や血小板減少性紫斑病なども見られることもある。
本稿は,M. pneumoniae感染症の実験室診断法について,病原体分離法,抗原検出法,抗体検出法に関する一般的な方法を示す1)。 |
Keywords |
マイコプラズマ肺炎, 異型肺炎, Mycoplasma pneumoniae, 実験室診断法 |
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