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日本臨床微生物学会雑誌

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Article in Japanese

論文名 ムコイド型肺炎球菌による頸部膿瘍の1症例
論文言語 J
著者名 清水 紀臣1), 岡村 治1), 宮澤 寿幸1), 鷲野 恵一2), 南雲 啓二2)
所属 1)国立長野病院 研究検査科
2)長野赤十字病院 中央検査部
発行 臨床微生物:13(3),162─166,2003
受付 平成15年4月11日
受理 平成15年10月23日
要旨  これまでに本邦で報告されていない「ムコイド型肺炎球菌による頸部膿瘍の1例」を報告する。症例は,81歳,女性。既往歴は,子宮筋腫。慢性関節リウマチ。2000年5月26日,左頸部痛および腫脹,左耳介痛を主訴として,他院より当院へ紹介受診となった。受診時の検査では,白血球および顆粒球の増加,CRP,血清蛋白分画で炎症マーカーの上昇以外にはその他の検査項目に異常を認めなかった。左前頸部に5.8×3.0 cmの明らかな腫脹が認められた。左頸部腫脹部位を切開,吸引した検体からムコイド型肺炎球菌を分離した。排膿後,piperacillin(PIPC),tosufloxacin(TFLX),amoxicillin/clavulanate(AMPC/CVA),の投与により膿瘍は消失した。本症例における侵入経路については不明であるが,分離菌は血清型3型のムコイド型であり,ペニシリンやエリスロマイシン,クリンダマイシンなど感受性検査を行った抗菌薬全てに感受性を示していた。ムコイド型株は年々増加が指摘されており,易感染患者や高齢者などのハイリスク患者については,ワクチン接種などの予防策を講じることが必要と考えられる。
Keywords 肺炎球菌, ムコイド型, 頸部膿瘍
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