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日本臨床微生物学会雑誌

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Article in Japanese

論文名 16S リボソームRNA保存領域研究の進展
論文言語 J
著者名 保科 定頼
所属 東京慈恵会医科大学臨床検査医学講座
発行 臨床微生物:14(2),79─91,2004
受付 平成16年6月22日
受理
要旨  16S リボソームRNAの塩基配列が各菌種によって多様であることを利用して,その相同性の差から分子系統樹の説明がなされるようになった。これを用いて菌種同定技術が進歩してきたのは,臨床微生物学の進展につながっている。これは,標的遺伝子を普遍的に検査できることと,リボソームの有用性から菌が容易に配列の変異を作りにくく安定していることである。  16S rRNA研究は,1本鎖配列領域が担う蛋白質翻訳機能とそれの二次構造,立体構造の解析技術の進展にともなう場所の確定が主流となってきている。その研究進展の基礎になったのは,分子系統進化を説明するためのリボソームRNA研究である。16S rRNAは構成する蛋白質と一体となってリボソーム30Sスモールサブユニットを構成する。この構造研究から,リボソームRNA塩基配列に相補的な1本鎖DNAオリゴマーを用いて,蛋白質翻訳調節に関する開始因子に相当する役割を持たせることが可能であった。
Keywords 血流感染症, 細菌, 系統分類, リボソーム, 翻訳開始点
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