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日本臨床微生物学会雑誌

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Article in Japanese

論文名 Clostridium difficile関連検査の臨床的有用性の検討
論文言語 J
著者名 丸山 篤芳1), 吉村 平2), 森下 芳孝3), 登 勉4)
所属 1)三重大学医学部附属病院 輸血部
2)三重県立志摩病院 内科
3)三重大学医学部附属病院 中央検査部
4)三重大学医学部 臨床検査医学講座
発行 臨床微生物:14(2),99─103,2004
受付 平成16年2月3日
受理 平成16年6月16日
要旨  Clostridium difficile毒素抗原検査の有用性を検討するため,糞便性状とトキシンA 陽性率,便中白血球,および培養検査の関係を解析した。三重大学医学部附属病院において,1999年10月から2002年9月までの期間にC. difficile毒素抗原検査目的で提出された糞便検体128件を対象とした。トキシンA陽性検体は下痢便検体43件のうち28件(65.1%),固形便検体85件のうち17件(20.0%)であった。さらに,経日的に検体提出された症例を調べた結果,Vancomycin投与後の固形便からトキシンA陽性結果が7日以上持続した症例が30症例のうち11例(36.7%)に認められた。腸管粘膜傷害に伴い出現する便中白血球の有無を調べた結果,下痢便検体におけるトキシンA陽性28件のうち便中白血球陽性は24件(85.7%),固形便検体におけるトキシンA陽性17件のうち便中白血球陽性は1件(5.9%)となり,臨床症状を伴わないトキシンA陽性結果を除外するために便中白血球を組み合わせることは有用と考えられた。今回,培養で確認されたC. difficile 23株は全て毒素産生株であったが,糞便検体におけるトキシンAと便中白血球の検査結果がともに陰性であった症例が13例(56.5%)あった。培養検査は毒素産生株の保菌状態を検出することも多いと考えられる。
Keywords Clostridium difficile, トキシンA, 便中白血球, 毒素遺伝子
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