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日本臨床微生物学会雑誌
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書誌情報
論文名 |
HEp-2細胞空胞化試験によるBacillus cereus嘔吐毒素測定法の改良の試み |
論文言語 |
J |
著者名 |
川村 久美子1), 平間 佑美1), 安形 則雄2), 伊藤 秀郎1) |
所属 |
1)名古屋大学医学部保健学科検査技術科学専攻基礎検査学講座
2)名古屋市衛生研究所微生物部 |
発行 |
臨床微生物:14(3),146─152,2004 |
受付 |
平成16年6月17日 |
受理 |
平成16年8月10日 |
要旨 |
Bacillus cereusによる嘔吐型食中毒の原因となる毒素セレウリドは抗体が産生されないことから,検出にはHEp-2細胞空胞化試験による生物活性の測定が行われている。この方法は最小検出感度が5 ng/mlと非常に高感度であるが,空胞化の判定に熟練を要すること,測定法の再現性に乏しいなどいくつかの問題点を有することから,現在は一部衛生研究所で行われているのみである。今回我々は検査室でも実施可能な新たなセレウリド測定法の構築にあたり,標準法となるHEp-2細胞空胞化試験の再現性の向上が必須と考え,各種培養条件における毒素産生性ついて検討を行った。セレウリド産生性は培地の種類,培養温度や培養時期などの培養条件によって,顕著に変化することが明らかとなった。セレウリド産生は増殖期のmid~late-stationary phaseに認められ,セレウリドの産生における培養の最適条件は10%スキムミルク培地50 mlにて30℃,30時間,200 rpmの振とう培養であった。この条件にてHEp-2細胞空胞化試験の再現性を検討した結果,日差再現性(n=10)は改良以前のCV 64.0%から35.3%に大きく改善された。セレウリド産生性が培養条件によって顕著に変化することは,培養条件の不適切による偽陰性化の可能性をも示唆しており,培養の最適化は再現性の向上とともに検出感度の向上にもつながるものと考える。 |
Keywords |
Bacillus cereus, セレウリド, HEp-2細胞空胞化試験, 毒素産生性, 培養条件 |
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