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日本臨床微生物学会雑誌

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Article in Japanese

論文名 臨床検体からのMRSA検出状況および薬剤感受性率の推移.1992~2003
論文言語 J
著者名 奈田 俊1), 馬場 尚志1,2), 後藤 康仁1), 西尾 小夜子1), 大蔵 照子1), 中西 由紀子1), 望月 まり子1), 鈴木 香織3), 川村 久美子4), 山本 雅人5), 飯沼 由嗣6), 一山 智6), 太田 美智男7)
所属 1)名古屋大学医学部附属病院 検査部
2)名古屋大学医学部附属病院 難治感染症部
3)名古屋市立守山市民病院 中央検査科
4)名古屋大学医学部保健学科 検査技術科学専攻
5)名古屋大学医学部附属病院 薬剤部
6)京都大学医学部附属病院 検査部・感染制御部
7)名古屋大学医学系研究科 分子病原細菌学・耐性菌制御学
発行 臨床微生物:14(4),215─222,2004
受付 平成16年6月14日
受理 平成16年10月6日
要旨  1992年から2003年までの12年間に名古屋大学医学部附属病院検査部において分離されたmethicillin耐性Staphylococcus aureus(MRSA)について,分離株数の推移,分離された検査材料の内訳,各種抗菌薬に対する感受性率を検討した。分離株数の推移については,1992年度以降増加傾向であったが1998年度をピークに近年は減少傾向であり,1992年度と2003年度を比較するとほぼ同程度であった。この変動は入院患者由来株の株数の推移に一致していた。一方,近年MRSAによる市中感染症が注目されているが,今回の検討の中では外来患者由来株の分離数やS. aureus中にMRSAが占める割合には大きな変動は見られなかった。検査材料別内訳については,12年間を通じて常に呼吸器系検体,膿の順に多く,この二つの検体で全体の60%以上を占める状況が続いていた。抗MRSA薬に対する感受性については,vancomycin耐性株は見られなかったが,teicoplanin低感受性株が1株見られ,arbekacinについては一部に耐性株が認められた。また,抗MRSA薬以外の抗菌薬に対しては全般的に耐性化傾向であった一方で,gentamicinに対する感受性には改善傾向が認められた。
Keywords MRSA, 分離株数, 検査材料別内訳, 薬剤感受性率
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