日本臨床微生物学会雑誌：書誌情報

日本臨床微生物学会雑誌

書誌情報

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Article in Japanese

論文名	肺膿瘍，多発性脳膿瘍をきたしたScedosporium apiospermum感染症の1例
論文言語	J
著者名	木村　由美子1）, 齋藤　若奈2）, 川上　健司3）, 松尾　秀徳4）, 西本　勝太郎5）
所属	1）独立行政法人　国立病院機構長崎神経医療センター　臨床検査科 2）独立行政法人　国立病院機構東京病院　呼吸器内科 3）独立行政法人　国立病院機構長崎神経医療センター　呼吸器内科 4）独立行政法人　国立病院機構長崎神経医療センター　臨床研究部 5）社団法人　日本海員掖済会長崎病院　皮膚科
発行	臨床微生物：14（4），223─227，2004
受付	平成16年7月14日
受理	平成16年10月12日
要旨	ステロイド剤，免疫抑制剤および抗癌剤などの使用により免疫機能が低下した患者，すなわち易感染患者における深在性真菌症が増加傾向にある。その原因となる真菌はCandida属，Aspergillus属が大半を占めているが，近年，深在性真菌症の原因真菌として認識されていなかった真菌による症例の報告がなされている。患者は82歳女性，2000年10月より間質性肺炎でステロイド内服中であった。2001年1月12日全身倦怠感と右上肺野の陰影の増大，空洞形成を認め入院となった。入院後，気管支鏡を施行したが結核菌を含めて病原菌は検出できなかった。その後，左片麻痺が出現，頭部MRIにて脳膿瘍が疑われ，血清学的検査より真菌の関与が示唆されたため，抗真菌薬による治療を開始した。しかし，くも膜下出血を併発し，2月1日死亡した。病理解剖において脳膿瘍および肺膿瘍を認め，その膿の培養にてScedosporium apiospermumを検出した。本菌が脳膿瘍および肺膿瘍を形成した報告はまれであり，貴重な症例と考え報告する。
Keywords	Scedosporium apiospermum, Aspergillus, 新興真菌感染症, 血清学的検査, ステロイド