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日本臨床微生物学会雑誌

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Article in Japanese

論文名 腸管出血性大腸菌検査におけるO157イムノクロマト法の評価
論文言語 J
著者名 勢戸 和子, 河原 隆二, 田口 真澄, 小林 一寛
所属 大阪府立公衆衛生研究所
発行 臨床微生物:15(1),20─24,2005
受付 平成16年7月8日
受理 平成17年1月12日
要旨  腸管出血性大腸菌(EHEC)O157の迅速診断法として開発されたイムノクロマトキットキャピリアO157の有用性を評価するため,糞便検体から直接O157抗原を検出し,培養法および市販イムノクロマトキット NOW EH E. coli O157(NOW)の成績と比較検討した。培養法にてEHEC O157が検出された糞便112検体のうちキャピリアO157は100検体,NOWは96検体で陽性を示し,検出率はキャピリアO157の方が優れていた。培養陰性でキットが非特異反応を示したと考えられる検体数は,キャピリアO157で7検体,NOWでは2検体と前者の方が多く見られたが,O157菌株を用いたキャピリアO157の検出感度は104 CFU/ml とNOWよりも1オーダー高く,検出感度を上げるための反応系が非特異反応の一因となっていることが推察された。EHECの確定診断や疫学解析に原因菌の分離は不可欠だが,キャピリアO157は糞便中のEHEC O157を検出するスクリーニング法として有用であると考えられた。
Keywords 腸管出血性大腸菌, 志賀毒素産生性大腸菌, O157, イムノクロマト法, 迅速検査法
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