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日本臨床微生物学会雑誌

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Article in Japanese

論文名 新生児集中治療室におけるMRSAのパルスフィールドゲル電気泳動解析と感染対策
論文言語 J
著者名 清祐 麻紀子1), 佐藤 和夫2), 関 真人2), 高柳 恵3), 永沢 善三3)4), 小口 晃4), 永山 在明4)
所属 1)国立病院機構九州医療センター臨床検査部・臨床研究部
2)同・小児科
3)佐賀大学医学部附属病院検査部
4)福岡大学医学部微生物・免疫学教室
発行 臨床微生物:15(1),25─31,2005
受付 平成16年4月14日
受理 平成17年1月24日
要旨  国立病院機構九州医療センターにおいて,新生児集中治療室(NICU)から新規に検出されるMRSA患者数は院内全体の半数を占めており,NICUにおいてMRSAは院内感染の重要な問題であった。そこで,1999年12月から2002年5月の間に NICU から検出された MRSA 62 株のパルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)を行い,疫学調査を試みた。その結果MRSAのタイプは主に11パターンに分類され,最も多く検出されたGタイプによるアウトブレイクと考えられる期間が認められた。また,NICU内環境検査および医療スタッフ鼻腔内保菌検査を実施した結果,MRSA保菌児周辺と空調フィルターからMRSAが検出された。環境と医療スタッフ数名から検出されたMRSAのPFGEを解析した結果,すべて同様の泳動パターンであり,それらはGタイプと同一タイプであった。環境検査の結果,アウトブレイク時の汚染領域の広さがうかがえ,MRSA保菌児の周辺はMRSAにより汚染されていることが明らかとなった。そこで,NICUでは新生児TSS様発疹症やMRSA感染症が頻発した2000年8月からNICU内で独自のInfection Control Teamを結成し,院内感染対策の強化を行った。その対策のなかでも,患児を扱う際の手袋着用が最もMRSAの伝播を阻止することができ,MRSA検出の減少につながったと考えられた。
Keywords MRSA, NICU, パルスフィールドゲル電気泳動, 院内感染対策
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