要旨 |
病院感染対策としての感染制御が確立しようとしている。国内のほとんどの病院に感染対策委員会(ICC)ならびにインフェクション・コントロール・チーム(ICT)が設立され,活動している。このことは,二つの大きな流れを具体的に起こそうとしている。一つは,感染症専門医の極めて少なかった日本の医療状況の中でインフェクション・コントロール・ドクター(ICD)の認定が行われ,現在6,000名近くのICDが生まれたということ,もう一つは,臨床微生物検査も従来の感染症の診断,治療のための検査から,感染制御のための新しい検査と知識が要求されるようになったということである。感染制御の活動において,微生物検査室は必須の,中核となるべき部署である。特にサーベイランスなどにあたる医療従事者の少ないわが国の状況においては,微生物検査室によってなされるサーベイランス(laboratory-based surveillance)を用いることが,効率的な感染制御を行うための必須の情報源となる。このように,微生物検査に新たな検査と知識が要求される状況は,微生物検査室にとっては,負担の増加であると同時に,大きなチャンスであるととらえるべきである。その要求に応える検査室の変革を実施することが,外注化も含めた臨床微生物検査室の現在取り組んでいる問題への一つの解決策を与えてくれるものと信じる。 |