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日本臨床微生物学会雑誌

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Article in Japanese

論文名 各種検査材料からのカンジダ属分離状況と抗真菌薬感受性について
論文言語 J
著者名 内田 幹1), 深澤 裕美2), 遠藤 武1), 三上 美恵3), 大屋 とし子4), 井上 清太郎5), 山本 ひろ子6)
所属 1)山梨大学医学部附属病院検査部
2)山梨厚生病院細菌検査室
3)市立甲府病院検体検査室
4)山梨県立中央病院検査部
5)社会保険山梨病院細菌検査室
6)甲府共立病院検査部
発行 臨床微生物:16(2),74─80,2006
受付 平成17年9月26日
受理 平成18年3月8日
要旨  近年,真菌分離状況や抗真菌薬感受性の変化が指摘されている。真菌分離状況や抗真菌薬感受性を調査することは真菌症治療にとって貴重な情報になると考え,2003年10月から2004年3月までの間に山梨県内の6施設において,各検査材料からのカンジダ属の分離状況と抗真菌薬感受性を検討した。検査した9,083検体からカンジダ属は666株(7.3%)が分離され,そのうちCandida albicansは426株(64.0%),C. albicans以外のカンジダ属(non-albicansカンジダ属)は233株(35.0%)であった。Non-albicansカンジダ属ではCandida glabrataの分離頻度が高く,次いでCandida tropicalisの順であった。抗真菌薬感受性試験では,amphotericin BはC. tropicalisの1株を除き,1 μg/mlですべての株の増殖を抑制した。Fluconazole耐性C. albicansは検出されなかったが,non-albicansカンジダ属におけるMICは≦0.13~≧64 μg/mlに幅広く分布し,低感受性株や耐性株が存在した。MicafunginはC. albicansC. glabrata,およびC. tropicalisに対して0.13 μg/mlで,C. kruseiでは0.5 μg/mlで供試菌の増殖を抑制した。なお,試験した全菌株(659株)に対するamphotericin B,fluconazole,およびmicafunginのMIC90値はそれぞれ0.25 μg/ml,4 μg/ml,および0.06 μg/mlであった。今回の試験結果を真菌症治療にフィードバックしたい。
Keywords サーベイランス, カンジダ属, 抗真菌剤耐性, fluconazole, micafungin
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