日本臨床微生物学会雑誌：書誌情報

日本臨床微生物学会雑誌

書誌情報

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Article in Japanese

論文名	ノカルジア属細菌の分子生物学的同定法と抗菌薬感受性に関する検討
論文言語	J
著者名	渋谷　理恵1）, 舘田　一博1,2）, 木村　聡一郎1）, 石井　良和1）, 村上　日奈子2）, 島津　玲子1）, 樫谷　総子1）, 岩田　守弘2）, 松本　哲哉3）, 木村　一博4）, 内田　耕4）, 中田　紘一郎4）, 久保　勢津子5）, 三上　襄5）, 山口　惠三1,2）
所属	1）東邦大学医学部微生物・感染症学 2）東邦大学医療センター大森病院臨床検査部 3）東京医科大学微生物学 4）東邦大学医学部呼吸器内科 5）千葉大学真菌医学研究センター
発行	臨床微生物：16（2），81─88，2006
受付	平成18年2月8日
受理	平成18年4月19日
要旨	Nocardia属細菌は日和見感染症の原因菌として重要であるが，その培養同定はしばしば困難であり，臨床の現場において見逃されている症例も多数存在するものと考えられる．また本菌感染症に対する抗菌薬療法は，通常，数カ月にわたって実施されることから，その抗菌薬感受性成績は重要である．本研究では，臨床分離Nocardia属細菌26株を対象に従来の生化学的同定法と分子生物学的方法の同定結果を比較するとともに，菌種別に見た抗菌薬感受性を検討した．臨床分離された26株は従来の生化学的同定法（生化学的検査，発育性，細胞壁成分の分析など）によりN. asteroides12株，N. nova8株，N. farcinica6株と同定された．分子生物学的方法としては，近年報告されている16S rDNAを用いたrestriction fragment length polymorphism（RFLP）を用いて検討したところ，生化学的同定法でN. asteroidesと同定された12株のうち4株がN. asteroides，4株がN. farcinica，4株がN. transvalensisという結果になった．一方，従来の生化学的同定法によりN. novaと同定された8株のうち2株がN. nova，1株がN. farcinica，残りの5株は同定不能となった．生化学的同定法でN. farcinicaと同定された6株は分子生物学的方法においてもすべてN. farcinicaと判定された．これらNocardia属細菌の抗菌薬感受性を検討したところ，菌種により感受性分布に若干差が見られるものの，ミノサイクリン，イミペネム，アミカシン，アルベカシン，ST合剤，リネゾリドでおおむね強い抗菌活性が観察された．本研究から，Nocardia属細菌の16S rDNAを用いたRFLP同定法の有用性が示唆された．
Keywords	Nocardia, RFLP, conventional identification, antimicrobial susceptibility testing