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日本臨床微生物学会雑誌

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Article in Japanese

論文名 フルオロキノロン耐性Salmonella Typhimuriumが分離された小児下痢症の2症例
論文言語 J
著者名 小倉 健一1), 齊藤 冬彦1), 森田 耕司2)
所属 1)(財)東京都保健医療公社多摩南部地域病院検査科
2)杏林大学保健学部臨床微生物学教室
発行 臨床微生物:16(2),96─101,2006
受付 平成18年1月10日
受理 平成18年4月27日
要旨  発症時期が異なる小児下痢症2例より,フルオロキノロン耐性Salmonella Typhimuriumを分離した。症例1は7歳女児,症例2は生後7カ月の男児で,ともに入院時便培養よりフルオロキノロン耐性(ciprofloxacin(CPFX)MIC 16 μg/ml)S. Typhimuriumが分離された。治療は,2症例ともにfosfomycin(FOM)を投与して軽快したが,菌消失までには1カ月以上を要した。フルオロキノロン耐性は,キノロン耐性決定領域のPCRによりgyrA遺伝子とparC遺伝子の変異によることが確認された。プラスミドプロファイルおよびRAPD-PCRによるDNA多型分析より,同一株による感染事例であることが示唆された。しかし,家族の便培養検査は陰性であり,感染経路は不明であったが,飼っていたペット由来の可能性が考えられた。本邦でのフルオロキノロン耐性S. Typhimuriumの拡散・伝播が懸念されるため,今後の耐性菌出現動向に十分注意することが重要である。
Keywords Salmonella Typhimurium, フルオロキノロン耐性, gyrA遺伝子, parC遺伝子, キノロン耐性決定領域
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