学会誌

日本臨床微生物学会雑誌

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Article in Japanese

論文名 妊婦腟内のGBSスクリーニングにおける増菌培養法の有用性
論文言語 J
著者名 岩崎 瑞穂, 小松 方, 長坂 陽子, 福田 砂織, 阿部 教行, 中村 彰宏
所属 天理よろづ相談所病院臨床病理部
発行 臨床微生物:16(3),141─144,2006
受付 平成18年4月6日
受理 平成18年8月16日
要旨  B群溶血性連鎖球菌(Group B Streptococcus;以下GBS)は新生児における髄膜炎および敗血症に関与する主な起因菌の一つである。2002年に改定されたCenter for Diseases Control and Prevention(CDC)の「新生児におけるGBS疾病の予防に関するガイドライン」では,妊娠35~37週のすべての妊婦に対して腟と直腸内のGBS検査を推奨している。今回GBSの選択性増菌ブロスであTodd-Hewitt broth(THB,日研生物医学研究所)とコリスチン-ナリジクス酸加血液寒天培地(CNA,日研生物医学研究所)を組み合わせた増菌法の有用性を検討した。2005年2月~11月に当院産科外来を受診した妊娠後期206症例の妊婦から得られた221件の腟スワブを対象に5%ヒツジ血液寒天 (日水製薬)への直接接種する方法 (直接法)とTHBで増菌後CNAへサブカルチャーする方法 (増菌法)との比較を行った。GBS陽性は直接法で12件(5%),増菌法は25件(11%)であった。直接法陽性の12件はすべて増菌法陽性であり,直接法のみ陽性例はなかった。  妊婦の腟GBSスクリーニングは直接法より増菌法を用いた方法で検出率の向上を認めた。検査経費の削減を考慮した場合,直接法を省略し増菌法のみの検査でスクリーニング可能であることが示唆された。
Keywords group B streptococcus, liquid media, screening in pregnant women
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