日本臨床微生物学会雑誌：書誌情報

日本臨床微生物学会雑誌

書誌情報

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Article in Japanese

論文名	Corynebacterium durumが起炎菌として疑われた肺炎の1症例
論文言語	J
著者名	杵渕　貴洋1）, 大塚　喜人2）, 大楠　清文3）, 中西　京子4）, 宇佐美　和男1）, 江崎　孝行3）
所属	1）社会福祉法人北海道社会事業協会富良野病院臨床検査科 2）社会保険中央総合病院臨床検査部・感染制御チーム 3）岐阜大学大学院医学研究科再生分子統御学講座病原体制御学分野 4）社会福祉法人北海道社会事業協会富良野病院呼吸器科（現：JA北海道厚生連旭川厚生病院呼吸器科）
発行	臨床微生物：17（1），1─7，2007
受付	平成18年3月27日
受理	平成18年11月6日
要旨	我々は，気管支拡張症に併発した肺炎の起炎菌としてCorynebacterium durumが疑われた1例を経験した。患者は65歳，男性。平成5年より血痰を認め気管支拡張症として他院にて治療を受けていた。平成14年11月12日当院呼吸器科外来を受診し，気管支拡張症の治療目的にて，抗菌薬，去痰薬などを処方し外来にて経過観察していた。平成15年10月17日，咳嗽が非常に強いため来院され喀痰培養が提出された。喀痰のグラム染色からは多数の白血球とともにNocardia属に特有の分岐したグラム陽性桿菌を多数観察し，胸部X線と胸部CTで左下葉の透過性の低下や拡張した気管支内腔に分泌物貯留を認めること，使用中の抗菌薬が著明な効果を示さないことなどからNocardia属による感染症を疑い主治医に連絡，その後sulfamethoxazole-trimethoprim（ST合剤）による治療が開始された。培養から3日目に発育してきたコロニーで同定検査を実施したところ，簡易同定検査ではNocardia asteroidesと同定されたが，確認のために16S rRNAシークエンス解析を行った結果，99.98％の一致でC. durumと同定された。
Keywords	Corynebacterium durum, 気管支拡張症, 分岐したグラム陽性桿菌, Nocardia, Kinyoun染色