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日本臨床微生物学会雑誌

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Article in Japanese

論文名 メロペネム,イミペネムの緑膿菌に対するPercent Time Above MIC(%T>MIC) の比較検討―モンテカルロシミュレーション法を用いた解析―
論文言語 J
著者名 若林 真理子, 富永 健司, 坂本 和美, 鶴川 治美, 前田 沙織, 田村 卓, 阿部 郁朗, 海渡 健
所属 東京慈恵会医科大学附属病院中央検査部
発行 臨床微生物:17(1),8─13,2007
受付 平成18年8月25日
受理 平成18年12月18日
要旨  薬物動態や薬力学に注目した抗菌薬の使用が重要視されている。今回我々は,当院にて検出された緑膿菌を対象として,イミペネムとメロペネムのMICを測定し,1回投与量あるいは1日投与回数により三つの投与パターンを想定し,モンテカルロシミュレーションを用いて%T>MICを求め,両薬剤の有用性の比較と最適投与方法の検討を行った。その結果,両抗菌薬を1回500 mg, 1日2回投与した場合(500 mg×2)は,静菌作用を示すとされる%T>MIC: 30達成率(TA30%)はメロペネム71.9,イミペネム59.3と高かったが,殺菌作用の目安とされる%T>MIC: 50達成率(TA50%)はそれぞれ21.5, 0.1であり,この投与方法では静菌効果は望めるものの,十分な殺菌効果は得られないと判断された。1,000 mg×2ではTA30%はそれぞれ80.5, 68.7であったが,TA50%は53.2, 2.7であり,両抗菌薬間に相違が認められた。500 mg×3では,TA30%はそれぞれ 83.7, 73.7, TA50%はそれぞれ68.1, 41.8であり,両薬剤において静菌効果,殺菌効果とも最も良好な結果が得られた。以上より,当院における緑膿菌の対策として1回500 mg,1日3回投与が望ましいことが判明した。このような解析は一施設での抗菌薬の有効性,投与方法を検討するうえで非常に意義があるものと思われた。
Keywords %T>MIC, Pseudomonas aeruginosa, Monte Carlo simulation, meropenem, imipenem
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