|
日本臨床微生物学会雑誌
|
書誌情報
論文名 |
MLSTなどによるMRSAの分子疫学 |
論文言語 |
J |
著者名 |
長尾 美紀1), 太田 美智男2) |
所属 |
1)京都大学医学部付属病院検査部・感染制御部
2)名古屋大学医学系研究科分子病原細菌学 |
発行 |
臨床微生物:17(3),159─167,2007 |
受付 |
平成19年6月26日 |
受理 |
|
要旨 |
メチシリン耐性Staphylococcus aureus(MRSA)は院内感染の最も重要な起因菌である。また最近では市中感染症例の報告も相次ぎ,病原性の高さからその重要性が再認識されてきている。MRSAの問題点は接触により容易に周囲に広がっていくことができることに加え,次から次に新たな病原性や耐性をもつ株が出現してくることにあり,その感染経路を把握することは感染対策を講じるうえでも必須である。本稿ではMRSAの分子疫学において代表的なPulsed-field gel electrophoresis(PFGE), multilocus sequence typing(MLST), spa typing, SCCmec typingについて解説した。これらの手法,特にMLSTを用いることで,世界に広がるMRSAには独立に誕生した多くのclone(クローン)があり,国や地域によって異なったクローンが定着していることが明らかになった。また空間的な要素と時間的な要素を加味してダイナミックに変容するMRSAの姿が浮き彫りになってきた。 |
Keywords |
MRSA, 分子疫学, MLST, PFGE, spa typing |
|