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日本臨床微生物学会雑誌

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Article in Japanese

論文名 Low-Level Methicillin-Resistant Staphylococcus aureus(Low-Level MRSA)検出のための測定法の評価
論文言語 J
著者名 水野 理恵1,2), 川村 久美子2)*, 奈田 俊3), 馬場 尚志3,4), 伊藤 秀郎2)
所属 1)名古屋大学大学院医学系研究科・医療技術学専攻
2)名古屋大学医学部保健学科・検査技術科学専攻
3)名古屋大学医学部附属病院検査部
4)名古屋大学医学部附属病院難治感染症部
発行 臨床微生物:17(3),177─185,2007
受付 平成19年5月11日
受理 平成19年7月14日
要旨  より精度の高いmethicillin-resistant Staphylococcus aureus(MRSA)検出法を見いだすことを目的に,3種類のMRSA検査法(薬剤感受性試験,PBP2a検出法,MRSAスクリーニング培地)の評価を行った。PCR法によるmecA遺伝子の検出では,臨床分離S. aureus 153株のうち,陰性54株,陽性99株であった。mecA遺伝子の有無を基準として,各種MRSA検出法の感度を比較したところ,ラテックス凝集法によるPBP2aの検出およびMRSAスクリーニング培地は共に100%であった。薬剤感受性試験については,薬剤をoxacillin(MPIPC)とcefoxitin(CFX)の2剤を用い,各々の薬剤について微量液体希釈法および寒天平板拡散法の2法で測定を行ったところ,CFXを用いた微量液体希釈法および寒天平板拡散法が感度97.0%と最も優れていた。本研究において,mecA遺伝子を保有しているにもかかわらず,MPIPCもしくはCFXによる薬剤感受性試験(微量液体希釈法,寒天平板拡散法)ではMRSAと判定できなかった株(Low-level MRSA)が15株存在し,このうち,2株は実施されたすべての薬剤感受性試験においてMSSAと誤判定された。これら菌株のwestern blottingによる発現解析の結果,Low-level MRSA15株ともPBP2aは発現していたが,MSSAと誤判定された2株については発現量の低下傾向が認められた。これらLow-level MRSAは7種類のスクリーニング培地にすべて発育可能であったが,少量の菌(100~500 cfu/ml)における回収率ではCFX含有培地が80~100%と最も良好であった。  以上の結果から,CFXによる薬剤感受性試験,CFX含有MRSAスクリーニング培地,PBP2a検出法の有用性が確認され,これらを組み合わせることで,より高感度で正確なMRSA検出ができるものと考える。
Keywords Low-level MRSA, 検出法
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