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日本臨床微生物学会雑誌

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Article in Japanese

論文名 TRC法を用いた結核菌検出方法(TRCRapid M. TB 東ソー)の有用性に関する検討
論文言語 J
著者名 田村 卓, 富永 健司, 坂本 和美, 鶴川 治美, 前田 沙織, 若林 真理子, 佐々木 十能, 石川 智子, 阿部 郁朗, 海渡 健
所属 東京慈恵会医科大学附属病院中央検査部
発行 臨床微生物:18(1),15─19,2008
受付 平成19年8月29日
受理 平成20年1月17日
要旨  転写-逆転写協奏反応(transcription-reverse transcription concerted reaction: TRC反応)は標的RNAを一定温度で増幅させる新しい反応で,RNAの切断,増幅,増幅RNAの検出を1本のチューブ内で連続的に反応させ,迅速かつ簡便に検査できる新規遺伝子増幅法である。今回筆者らは16SrRNA遺伝子を標的とし,発蛍光プローブとTRC反応を組み合わせることにより検出可能なRNA増幅法であるTRC法による結核菌検出方法(TRCRapid M. TB 東ソー)について,84検体を対象に日常検査で行っているPCR法や液体培養法との比較検討を行った。その結果,TRC法とPCR法の一致率は97.6%,TRC法と培養法の一致率は96.4%であった。一部検体に認められた測定結果の乖離は,検体を凍結処理することで消失したため,凍結処理により影響が消失する阻害物質がTRC反応系に影響していたものと考えられた。この乖離惹起物質の同定は困難であったが,反応時間に注意することでデータ解析上の問題点は回避された。以上より,簡便かつ短時間で結果の得られるTRC法は結核菌の迅速検出に有用であると考えられた。
Keywords TRC法, PCR法, 液体培養法, 結核菌
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