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日本臨床微生物学会雑誌
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書誌情報
論文名 |
当院で検出された結核菌群52株の菌種同定に関する検討 |
論文言語 |
J |
著者名 |
諸熊 由子, 内田 勇二郎, 辛島 貴人, 藤瀬 雅子, 今村 正一, 栢森 裕三, 康 東天 |
所属 |
九州大学病院検査部 |
発行 |
臨床微生物:18(3),177─183,2008 |
受付 |
平成19年11月6日 |
受理 |
平成20年5月1日 |
要旨 |
Mycobacterium tuberculosisは結核の主な原因菌であるが,その亜種とされるa数種の菌との鑑別が困難であるため,これらを一括して,M. tuberculosis complex(結核菌群)として報告されている。わが国で見られる結核菌群感染症にはM. tuberculosisによるもののほかに,他の結核菌群Mycobacterium bovis BCGによる感染症例が報告されている。今回われわれは,当院で3年間に検出された結核菌群52株を対象として本菌群所属菌の同定を試み,その分離状況を調査した。硝酸塩還元試験では菌種同定は不可能であった。TCH発育試験,結核菌群鑑別用PCR法では結核菌群からM. bovis BCGを鑑別することができ,50株(96.2%)がM. tuberculosis(うち1株がmpb64 gene欠損株),2株(3.8%)がM. bovis BCGと同定された。特に,結核菌群鑑別用PCR法は結果の判定が容易で迅速性にも優れていた。まれではあるが,BCG膀胱注入療法やBCG予防接種によるM. bovis BCG感染症が報告されており,今回の2症例も病歴より同様の原因と考えられた。免疫不全患者の多い大学病院などではこのような症例に遭遇することもあり,治療方針の決定や疫学調査,感染管理において,結核菌群の詳細な同定が必要になる場合もある。 |
Keywords |
結核菌群, BCG, RD, PCR, TCH |
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