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日本臨床微生物学会雑誌

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Article in Japanese

論文名 尿路感染症例から分離された大腸菌のレボフロキサシン耐性と患者背景因子の解析
論文言語 J
著者名 小倉 健一, 齊藤 冬彦, 鶴岡 全, 齋藤 生朗
所属 (財)東京都保健医療公社 多摩南部地域病院 検査科
発行 臨床微生物:18(4),221─226,2008
受付 平成20年3月14日
受理 平成20年8月1日
要旨  2001年1月から2005年12月までの5年間に,多摩南部地域病院・泌尿器科外来を受診した症例の尿検体より分離された大腸菌を対象とし,その中のlevofloxacin(LVFX)耐性大腸菌の割合とその薬剤耐性パターン,および耐性菌分離例における背景因子について調べることを目的とした。本病院は多摩地域5市の地域医療支援病院として,連携医からの紹介患者を主な対象としている二次医療機関である。総検査材料811検体から大腸菌125株が分離され,そのうちの27株がLVFX耐性(MIC:≥4 μg/ml)であった。耐性菌は年次的にしだいに増加しており,市中においてもLVFX耐性菌が増加しつつあることが示された。患者背景因子の解析では,慢性疾患を有し,さらにキノロン薬の前投与歴のある症例が,LVFX耐性大腸菌による尿路感染症に罹患しやすいことが統計学的に明らかにされた。  特定地域の医療を担う総合病院の細菌検査室においては,一次医療機関において使用されている経口抗菌薬の各種細菌に対する耐性化動向を常に把握し,それらの成績を感染情報としてフィードバックすることが必要であると結論された。併せて,地域全体の耐性菌分離状況を監視し,コントロールしていく必要もあると考える。
Keywords Levofloxacin耐性, 大腸菌, 尿路感染症, 地域医療, 患者背景因子
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