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日本臨床微生物学会雑誌

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Article in Japanese

論文名 新しいキノロン薬の肺炎球菌に対する抗菌活性の比較―ペニシリン・マクロライド・キノロン薬における感受性相関を含めて―
論文言語 J
著者名 福澤 滋1), 舘田 一博1,2), 石井 良和1,2), 榎園 恭子1), 彦坂 あゆみ1), 渋谷 理恵2), 前原 千佳子1), 村上 日奈子1), 安井 久美子1), 湯本 重雄1), 岩田 守弘1), 山口 惠三1,2)
所属 1)東邦大学医療センター大森病院 微生物検査室
2)東邦大学医学部 微生物・感染症学講座
発行 臨床微生物:19(1),21─25,2009
受付 平成20年2月29日
受理 平成21年1月14日
要旨  当施設で分離されたStreptococcus pneumoniae 356株を対象に,近年臨床応用されたレスピラトリーキノロン薬moxifloxacin(MFLX),garenoxacin(GRNX)および開発中のsitafloxacin(STFX),DX619を含め,キノロン系抗菌薬のS. pneumoniaeに対する抗菌活性を比較検討した。今回検討したS. pneumoniaeの約60%の株がpenicillin G(PCG)に対して低感受性を示した。一方,マクロライド系およびケトライド系抗菌薬においては,264株(74.2%)がclarithromycin(CAM)に耐性,telithromycin(TEL)に対してもMIC 2 μg/mlの低感受性を示す株が9株(2.5%)認められた。キノロン薬のMIC90(μg/ml)は低いものからDX619(≦0.031),GRNX(0.063),STFX(0.063),tosufloxacin(TFLX)(0.25),MFLX(0.25),gatifloxacin(GFLX)(0.5),levofloxacin(LVFX)(1),ciprofloxacin(CPFX)(2),pazufloxacin(PZFX)(2)の順であった。LVFX,TELにそれぞれ2 μg/ml以上の低感受性を示した12株,9株を対象にパルスフィールド電気泳動を実施したところ,散発的な同一クローンの分離は見られたものの,単一クローンの広範な伝播は確認されなかった。新しいレスピラトリーキノロン薬はS. pneumoniaeに対してさらに強い抗菌活性を有するものの,これら薬剤に対する耐性菌の出現には十分注意して対応していく必要があると考えられた。
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