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日本臨床微生物学会雑誌

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Article in Japanese

論文名 結核菌群遺伝子増幅検査におけるコバスTaqMan MTBの有用性
論文言語 J
著者名 赤松 紀彦1), 柳原 克紀1), 松田 淳一1), 木谷 貴嘉1), 菅原 和行1), 元島 舞子1), 中村 麻衣子1), 海野 壮2), 山田 恭暉3), 上平 憲3)
所属 1)長崎大学医学部歯学部附属病院検査部
2)ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社
3)長崎大学大学院医歯薬学総合研究科
発行 臨床微生物:19(2),84─89,2009
受付 平成20年7月4日
受理 平成21年1月28日
要旨  コバス TaqMan MTB(以下,TaqManと略す)は結核菌群遺伝子増幅検査用キットとして新規に開発された。本法はTaqManプローブを用いたリアルタイムPCR法を原理とし,既存のコバスアンプリコア マイコバクテリウム(以下,アンプリコアと略す)に比べて検出率の向上およびPCR阻害の軽減が期待される。そこで今回は本キットの有用性を評価するためにアンプリコアと相関性,検出率およびPCR阻害について比較検討した。アンプリコアおよびTaqManの全体一致率は91.7%(100/109)であり,PCR阻害による判定無効例を除く全体一致率は95.2%(99/104)であった。また,不一致であった9例のうち,アンプリコア陰性の4例はTaqManではすべて陽性であった。残り5例中の4例はアンプリコアではPCR阻害のため判定無効となったが,TaqManではPCR阻害は認められず,判定は有効であった。しかし,残り1例は,アンプリコアが陽性でTaqManが陰性であった。次に,アンプリコアで結核菌群陰性と判定された検体のうち,測定値の吸光度が0.050以上0.350未満の検体をグレーゾーン検体と定義し,その検体を用いてTaqManで測定したところ,5例中3例(60.0%)が陽性となった。さらに,アンプリコアでPCR阻害のため判定無効となった9例についてTaqManで測定したところ,6例(66.7%)でPCR阻害が回避された。  以上のことから,コバスTaqMan MTBは既存のコバス アンプリコア マイコバクテリウムに比べて結核菌群の検出だけでなく,PCR阻害においても優れていることが明らかとなった。今後臨床において有用性が高まるものと思われる。
Keywords 結核菌群, TaqMan, リアルタイムPCR法
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