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日本臨床微生物学会雑誌

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Article in Japanese

論文名 新規に開発された小型自動染色装置GS-20Aにおけるグラム染色性の評価
論文言語 J
著者名 厚川 喜子1), 川上 小夜子1), 石垣 しのぶ1), 田中 孝志1), 浅原 美和1), 斧 康雄2), 宮澤 幸久1)
所属 1)帝京大学医学部附属病院中央検査部
2)帝京大学医学部微生物学講座
発行 臨床微生物:19(3),142─147,2009
受付 平成21年3月13日
受理 平成21年5月7日
要旨  新規に開発された小型自動染色装置GS-20Aによるグラム染色性能を評価した。GS-20Aによるグラム染色性は,96.61%(2,652/2,745件)が良好な染色状態であったが,好中球など生体細胞の核の染色不良が0.84%(23/2,745件),細菌の染色不良が2.26%(62/2,745件),色素顆粒の沈着が0.29%(8/2,745件)にみられた。細菌の染色不良の内訳は,グラム陽性球菌の陰性化が1.71%(47/2,745件),グラム陽性桿菌の陰性化が0.62%(17/2,745件)で,本来グラム陽性に染まるべき菌の陰性化がわずかに認められた。適正なグラム染色を実施するための注意点として,喀痰,膿汁,血液成分の多い検体などでは,標本作製時に検体を薄く塗抹すること,染色液交換時には脱色時間を短く調整することがあげられる。本染色装置は目的や用途に応じた時間設定が可能で,多量の標本作製にも適しており,感染部位の塗抹鏡検を迅速で効率的に行うための染色装置として極めて有用である。
Keywords 自動染色装置, GS-20A, グラム染色, 効率化
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