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日本臨床微生物学会雑誌
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書誌情報
論文名 |
新種のCapnocytophaga leadbetteriを胸水から分離・同定できた胃食道接合部癌手術後の膿胸の1例 |
論文言語 |
J |
著者名 |
佐藤 延子1), 大楠 清文2), 佐々木 裕子1), 勝見 真琴1), 加藤 真帆1), 阿部 裕子1), 遠藤 真知子1), 長沢 光章1), 柴田 近4), 矢野 寿一3), 山本 夏男3), 國島 広之3), 平潟 洋一3), 佐々木 巌4), 江崎 孝行2), 賀来 満夫3) |
所属 |
1)東北大学病院診療技術部検査部門
2)岐阜大学大学院医学系研究科病原体制御学分野
3)東北大学大学院感染制御検査診断学分野
4)東北大学大学院生体調節外科学分野 |
発行 |
臨床微生物:19(3),171─176,2009 |
受付 |
平成21年3月30日 |
受理 |
平成21年6月29日 |
要旨 |
胃食道接合部癌の術後,第5病日より胸水貯留を認め,膿胸を併発した症例を経験した。症例は58歳男性で平成18年8月より食後のつかえ感があり,精査の結果,食道胃接合部癌と診断された。手術前に化学療法を行ったのち,平成19年3月12日に悪性腫瘍全摘出術(下部食道切除・胃全摘)が施行された。3月15日に採取した胸水からCapnocytophaga属と推定される菌種が検出された。生化学的なキットを用いた同定では属レベルの結果にとどまったため,16S rRNA遺伝子の塩基配列を決定して,既存の菌種の配列と相同性を比較した。その結果,最も高い相同性を示したCapnocytophaga ochraceaでも95.9%の一致率と97%以下の値であったことから,本属の新種であることが判明した。その後,新種登録の準備を進めていたなかで,2008年2月に登録されたC. leadbetteriと16S rRNA遺伝子の塩基配列や生化学性状が一致することが明らかになった。感染症の起炎菌として新種C. leadbetteriを初めて分離・同定できた症例を経験したので報告する。 |
Keywords |
Capnocytophaga leadbetteri, 新菌種, 16S rRNA遺伝子, 系統樹解析, 膿胸 |
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