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日本臨床微生物学会雑誌

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Article in Japanese

論文名 当院でAcanthamoeba spp.が検出された角膜炎16例の検討
論文言語 J
著者名 小原 知美, 岩崎 友里, 園田 明子, 今枝 義博
所属 藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院臨床検査部
発行 臨床微生物:19(4),199─204,2009
受付 平成21年2月18日
受理 平成21年8月14日
要旨  アカントアメーバ角膜炎はAcanthamoeba spp.を原因とした疾病で,早期の段階での臨床所見からは角膜ヘルペスや角膜真菌症との区別は必ずしも容易ではない。その診断は角膜病巣からAcanthamoeba spp.が検出されることによって確定する。筆者らは2005年から2008年の4年間に,臨床的にアカントアメーバ角膜炎を疑い,培養検査および塗抹検査でAcanthamoeba spp.を検出し,確定診断に至った16症例について検討した。対象患者は17~55歳の16名で10代,20代で半数以上を占めた。すべてコンタクトレンズ使用者であった。栄養型は培養後1~6日目に検出され,シストは2~6日目に栄養型と混在もしくはシスト単独で観察された。初回の検査で検出されず,虫体が検出されるまでに複数回の検体提出を必要とした症例もあった。アカントアメーバ角膜炎の予後は治療開始時の病期に依存する。早期の確定診断が望まれるが検出率は低い。Acanthamoeba spp.の検出には採取時の病期や検査方法が影響することが示唆されたため,抗菌薬や抗真菌薬に抵抗性の角膜炎の場合にはAcanthamoeba spp.に起因している可能性も視野に入れ,複数回検査を行うことが必要である。さらに,医師と臨床検査技師が積極的に情報交換し,連携して対処することが非常に重要であると考えられた。
Keywords Acanthamoeba spp.コンタクトレンズ, 栄養体, シスト
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