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日本臨床微生物学会雑誌
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書誌情報
論文名 |
パルスフィールドゲル電気泳動法(PFGE)型別法の改善後におけるClostridium difficileの院内分布の解析 |
論文言語 |
J |
著者名 |
奈田 俊1), 鈴木 匡弘3), 大蔵 照子2), 中西 由起子2), 望月 まり子2), 馬場 尚志2, 4), 八木 哲也5) |
所属 |
1)前 名古屋大学医学部附属病院検査部
2)名古屋大学医学部附属病院検査部
3)愛知県衛生研究所
4)名古屋大学医学部附属病院難治感染部
5)名古屋大学医学部附属病院中央感染制御部 |
発行 |
臨床微生物:19(4),205─212,2009 |
受付 |
平成21年5月22日 |
受理 |
平成21年8月31日 |
要旨 |
2004年1月から2008年12月までの5年間に,糞便検体から分離されたClostridium difficile(C. difficile)は340株であったが,そのうちトキシン遺伝子型を248株で決定したところ,A+/B+が141株(56.9%),A-/B+が26株(10.5%),A-/B-が81株(32.7%)であった。トキシン遺伝子保有株のうち136株について,パルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)法による型別の解析を実施し,病院内での分布状態を調べた。PFGE型では型別不能であった4株を除いた132株がデンドログラム解析で51種類に分類された。そのうちA型からL型までの12種類には85株(62.5%)が含まれ,複数患者由来であったが,残りの39種類には47株(34.6%)が含まれ患者固有の型であった。35株(25.7%)が最も多いA型であったが,この型は泳動bufferと泳動用ゲルに200 μMチオ尿素を添加しない方法ではスメア状態で型別不能であった。一方,C型の菌はすべてトキシン型A-/B+であった。A型,B型,J型は同一年内で同一病棟からの分離例があり,施設内伝播も疑われた。同一のPFGE型の菌が最長5年間分離される例もあり,C. difficileは芽胞を形成し院内環境に長期間生存しているか,または長期間にわたり人体から検出されうることが示された。 |
Keywords |
Clostridium difficile, PFGE, チオ尿素, トキシン, ユニクイック |
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