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日本臨床微生物学会雑誌
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書誌情報
論文名 |
多剤耐性緑膿菌(multidrug-resistant Pseudomonas aeruginosa; MDRP)検出用スクリーニング培地の基礎的検討 |
論文言語 |
J |
著者名 |
川村 久美子 |
所属 |
名古屋大学医学部保健学科 検査技術科学専攻 |
発行 |
臨床微生物:19(4),220─229,2009 |
受付 |
平成21年4月1日 |
受理 |
平成21年10月4日 |
要旨 |
本報では,既存の緑膿菌選択培地にamikacin(AMK),imipenem/cilastatin(IPM),ciprofloxacin(CPFX)を添加することにより,高感度で特異的な「multidrug-resistant Pseudomonas aeruginosa(MDRP)スクリーニング培地」を作製することを試みた。基礎培地には,自家調整により抗菌薬の添加が可能なCHROMagarTM Pseudomonas(以下CHROMagar)とNAC agarを選択した。基礎培地に添加する抗菌薬3剤の至適濃度は受信者動作特性曲線を用いて解析し,それを基に抗菌薬の至適濃度の条件を設定した。CHROM agarは,AMK 1 μg/ml,CPFX 1 μg/ml,IPM 4,6および8 μg/mlの3条件(感度96.3~100%,特異度92.6%),NAC agarは,AMK 12 μg/ml,CPFX 1 μg/ml,IPM 12および24 μg/mlの2条件(感度88.9%,特異度96.3~100%)を至適条件として選択した。これら5種類のスクリーニング培地の性能は,検出感度,安定性および臨床分離株を用いた感度と特異度により再評価した。その結果,CHROMagarにAMK 1 μg/ml,CPFX 1 μg/ml,IPM 4および6 μg/mlを添加した設定が最も優れていた。本培地は,簡便性と迅速性を併せ持つ,安価なMDRP検出法であり,検査の効率アップにより迅速な臨床診断および病院感染対策にも貢献できるものと考えられた。 |
Keywords |
MDRP, スクリーニング培地 |
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