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日本臨床微生物学会雑誌

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Article in Japanese

論文名 当院における休日の血液培養検査結果報告についての取り組み―365日体制による臨床的貢献について―
論文言語 J
著者名 吉永 浩子1), 大隈 雅紀1), 池田 勝義1), 大林 光念1,2), 安東 由喜雄1,2)
所属 1)熊本大学医学部附属病院中央検査部
2)熊本大学大学院医学薬学研究部病態情報解析学分野
発行 臨床微生物:20(1),20─27,2010
受付 平成21年6月12日
受理 平成21年11月9日
要旨  血液培養検査は,菌血症,敗血症における診断のゴールドスタンダードであり,陽性時の迅速な結果報告が要求される。熊本大学医学部附属病院中央検査部では,時間外血液培養検査マニュアル,フローチャートを作成しトレーニングを行ったうえで,2007年10月より,休日を含む365日体制の血液培養陽性判定業務を,夜間・休日業務に携わる検査技師全員で開始した。時間外血液培養検査結果報告に関する全責任は中央検査部長と定めた。2007年10月~2008年9月までの1年間に提出された血液培養検体2,516件中陽性検体は234件であり,このうち,54件(44例)23.1%が休日に陽性と判定された検体であった。これらの陽性検体について鏡検判定報告による抗菌薬投与状況を調査したところ,陽性報告を行ったことで抗菌薬投与が開始された症例10例,抗菌薬が変更された症例6例,抗菌薬が継続投与された症例23例であった。本システムの導入により,血液培養検体提出日から提出後5日目までのCRP増加率は抑制され,血液培養検査を施行した患者一人当たりの平均抗菌薬使用総額も,システム導入前に比し約40,000円減額できた。迅速かつ正確な休日血液培養検査結果報告が,感染症の早期診断,早期治療,および医療費の削減につながり,多大な臨床貢献を果たしたものと考えられる。血液培養検査の重要性と臨床貢献度を再認識し,同検査に365日体制で取り組むことが臨床検査技師の,そして検査室の存在意義をさらに高めるものと思われる。
Keywords blood culture, sepsis, bacteremia, overtime examination, antibiotics
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